2010年10月23、24日 越後 北ノ又川 滝ハナ沢

メンバー:Takahashiさん
装備ザイル8mm×50m、靴:アクアステルス
遡行図はこちら、 概要写真はこちら

スラブが凄いといわれる"滝ハナ沢"。『雪渓の処理が難しいと』、どの記録にもかかれており
猛暑続きの2010年はチャンスかも・・・?と思っていた。。。
単独で遡行した記録もあるが、最後まで詰め上がった記録はWEBではほんの1,2件で、
今回、最強メンバーに声を掛けたところ、Takahashiさんがお供してくれる事になり、ようやく遡行する機会を得た。

アプローチ:フィット
18:35自宅発→20:15太田桐生→21:37石打PA、7:15枝折峠→白銀の湯前林道ゲート
7:50ゲート発→8:10北ノ又川本流→9:15箱淵(キノコ収穫)→10:40滝ハナ沢出合
→12:35広河原(雪渓偵察後13:20広河原に戻り行動終了)

関越道小出IC近くの道の駅でTakahashiさんと合流。紅葉のピークと言う事も有り、枝折峠は20台程度の駐車場
きれいなトイレ有りがあるが、すでに満車。なんとかスペースを見つけ1台をデポ。

数年前までは、北ノ又川流域の基点は本流左岸林道からが多かったが、本流右岸に白銀の湯が出来てからは
その前の道をゲートまで進み、坪倉沢を100m程度下降して本流に入るのがお勧め。 ゲート前には駐車場は無いが、
どん詰まりの誰も通らない所なので、駐車スペースは数台分は確保できるだろう。ただしSoftbank携帯は、ここでは繋がらない。
ゲートから歩く事20分で北ノ又川本流に出る。このあたりは広河原となっており、両岸の紅葉が美しく癒し系。
途中、熊の足跡を見つけ声を出しながら進む。
簡易ゲートから歩き出します
北ノ又川本流に出る
美しさに癒されます♪

膝程度までの渡渉を数回繰り返すと、右岸から細い岩魚沢を見、右に屈曲した所に”箱淵”。いまだにここは埋まっておらず
水流通しでいくなら泳ぐ必要あるが10月下旬。そんな選択肢は無く、右岸の細流から巻く事に・・・
すると、ここにナラタケの群生発見!!! あまりの見事さに大騒ぎだ♪ 大量に収穫するが、
「今日食べきれないなぁ・・・」
「これもって滝ハナ沢かー」
と、若干困惑気味(^_^.)

結局、箱淵は右岸を小さく巻く。踏跡は見つけられなかったけど、まぁ問題無い。沢に下りるとミニゴルジュチック。
滝は小さいが釜は深く、これを避けて進む。水流通しで突破するが、ヘツリが微妙な所があり、バランス崩すとずぶ濡れに
なる。二人とも無事通過。 ここを過ぎると再び広河原となる。
箱淵(カーソル当てて)
箱淵上のミニゴルジュ(カーソル当てて)
再び広河原へ、滝ハナ沢出合いはもうすぐ

細流の岩魚沢が右岸から入ると滝ハナ沢出合いもすぐ。大スラブの沢とは思えない穏やかな雰囲気が漂う。。
滝ハナ沢に入るとすぐにナメ床。平凡な様相になっても明るい感じで、気持ちが良い。
深い釜を持った1m程度の小滝を両足ツッパリで越えようとしたら釜にドボン!
「せっかく泳がずここまで来たのにぃー!」とTakahashiさんにびしょ濡れの体で抱きつこうとしたが、逃げられた(笑)
ムキになって再度トライしたら何とか突破。ここは左から問題なく越えられます。

ここから先はゴルジュとなり、深い釜を持った5m滝が二つ。泳がないと取り付けないので左岸を小さく巻く。次の5mY字も
釜は深いが右の斜めバンドで滝に近づき水流右の壁を直登。Takahashiさんは左の草付きを利用して小さく巻いて上がってきた。
滝ハナ沢入渓直後のナメ
ここまで頑張る必要の無い1m滝。
ゴルジュ内5m滝(左岸を小さく巻く)

この辺りは良いテン場はいくつか見られる。幕営適地とされる”広河原”と呼ばれている所はどこなのか、お互い判らない。
そうしていると、沢が右に屈曲すると様相が一変し岩盤が発達。。。多くの記録では”広河原"と呼ばれている所で初日の行動を
終了しているが、そのどれもが二日目は長い行動時間を要している事から、初日に行ける所まで行ってしまう計画・・・。
幸い雪渓は全く見られず、高度計を見ると、まだほとんど進んでいないので、先に進む。巨岩帯を通り越し、高度計が
1020mを指す辺りで沢床が広がった。おそらく、ここが”広河原”なんだろう。焚き火の跡は無いが、平らな草地を発見。
こんなテン場は散見。
巨岩帯へ
1020m 広河原

時間は12時半過ぎ。ここから先は両岸が切り立ってくる。左に曲がると一瞬白いものが視界に入った!
沢が右に折れた所で崩壊しそうな巨大雪渓ブリッジ・・・。。。3週間前に行った蛇子沢左俣には全く雪渓が無かったのに、
ここはこんなに残っているのか・・・

雪渓の中は暗く出口が見えない。仕方なく、右壁を登り、小尾根に上がると

”・・・・・・・”

両岸50m以上の切り立ったスラブを有したV字谷。。。   シュルントのすぐ上で偵察しているTakahashiさんに

「クライムダウンできるかぁー?」
「ダメェーーー!」

さらに上に登ってみると、奥に40mナメ滝が控えており、もちろんテン場と呼べるような場所は視界に入らない。
40mナメ滝を今日中に越える時間は十分にあるとは思えたが、ここは引き返して広河原で幕営する事にした。

ここは絶好のテン場。薪も豊富。昼過ぎから飲み始め、食いすぎると下痢するナラタケを正露丸まで飲んで大量に食べた。
広河原先の様相
崩壊寸前(?)ブリッジ
左岸を巻くが・・・
雪渓上の様相(クリックして)
広河原に戻り幕営
キノコづくし



二日目
6:35広河原発→9:10 1400m(1:1)二俣→10:05 6段120m滝下→12:05 1630m(1:1)二俣
→13:10稜線登山道(駒の小屋の10m下)→13:20下山開始→15:40枝折峠

今日は行動時間が長いで4:30過ぎに起床。ナラタケ効果で朝からキジ打ち2回。すっきりしていざ出発!

昨日の雪渓手前に到着。

「ダイナマイト!!!」
「ス・スミマセン 持ってきてません!」
「ダメじゃん、共同装備として用意してこなきゃ!」

雪渓吹き飛ばして「ギャハハハハー!!!」    ・・・なんて、やってみたいものだ(-。-)y-゜゜゜

冗談はさておき、昨日の下見で、雪渓内には滝が無いのは確認済み。出口まで距離50m。左岸巻いて、懸垂で降りるのは可能。
「私はどちらでも・・・」
「んじゃ・・・」
と、雪渓手前で手を合わせる。これ非常に大事。 小走りに駆け抜けた

両岸磨かれたスラブだが、滝は小滝と快適なナメ床で快適。沢が左に曲がると、昨日、子尾根から見えた40m大ナメ滝
視界に入る。
このナメ滝は水流右を快適に直登。V−  このすぐ上にある9m多段ナメ滝も難なくクリア―。
無事突破
40m大ナメ(クリックして)
多段9mナメ

ここからは深い釜を持った小滝が幾つか現れ、快適なスラブの沢を暫く堪能できる。左岸から顕著な枝沢(1180m、1:1)
15m滝を見ると本流はミニゴルジュになり、水流通しでこれを越える。ここはちょっと荒れた様相。通常は雪渓が残っているはずだ。
スラブを堪能(クリックして)
1180m左岸枝沢の15m滝
ミニゴルジュから出た所、ここは雪渓で隠れるか?

この辺りから、滝ハナ沢の核心部に入っていく。。。トイ状6mは手前の淵も深く左岸を小さく巻いた。この先もゴルジュで、崩壊した
雪渓の奥に分厚いブリッジが掛っているのが見える。崩壊した雪渓を縫うように進みブリッジを覗くと奥に5m程度の滝が不気味に
水を落とす。。高巻きは左岸。右岸は絶対ダメ。 小さく巻こうとしたが、狙ってたラインが悪く50m以上巻き上げられる。
草付きスラブでこの高巻きは悪い。
上流の視界が開けると、雪渓は大きく10m、20m滝の連瀑までビッチリ伸びていた。懸垂しようにも、シュルントが延々伸びており、
雪渓には降りれない。大高巻き大嫌いな我々も、ここだけは雪渓から数10m上をトラバースするしかなかった。
しかもこの20m滝は絶望的で、仮に雪渓に降りれたとしても、再び左岸の高巻きになるだろう。
トイ状6m(カーソル当てて)
前方に分厚い雪渓
悪い高巻きで巻き上げられる。
前方に控える10m,20mの連瀑

問題はここからの下降点で、『上信越の谷105ルート』の遡行記録も、ここから沢床に戻る事が出来ず、巻き上げられて終了している。
ここの下降点はズバリ20m滝落ち口に延びるカンテ。ここを逃すと50mザイル1本では降りれないかも。
このカンテの下降は決して難しくは無く、ノーザイルで降りれるが、何しろジャスト20m滝落ち口に出るので、多少の高度感は伴う。
ザイル利用だと、やはりここも50m1ピッチでは届かないはず。
遡行ルートを大きく左右する高巻きライン(カーソル当てて)
カンテを20m滝落ち口へ向かって下降(カーソル当てて)
降りた所から

せっかく、沢に下りたのだが、300mも歩かない内に早くも次の雪渓まぁ高巻きで見えてたんだけど・・・
ここも、右岸はダメで、左岸の高巻きに入る。ここも延々シュルントが伸びており雪渓には降りれない。ここも極力低いラインで
トラバースを掛ける。正面にトイ状の多段100m滝が見えているが、これは左俣で、90度屈曲して右俣になっている。
雪渓があり沢床には降りれないが、標高1400mに位置するこの二俣は水量比(1:1)。右俣は4段70m滝となっている。
我々がトラバースでたどり着いた所は1段目上辺りだ。この滝はそのまま右壁を登りジャスト落ち口上に出る事が出来た。
またまた大雪渓
正面の切れ込みは左俣
高度感無いけど右俣4段70mの4段目

苦労して、ようやく沢床に戻れた訳だが、すぐ上に控えるトイ状10m滝がまた登れない。高巻きはやはりここも左岸だが、
滝近くで取り付けず、先程の4段70m滝落ち口付近まで戻っての高巻き。この途中で、6段120m滝が姿を現した。

「全く容赦無しですなぁー!」 と笑うしかない。

沢床に降り、大滝に近づいてゆく。”水流右のリッジに取り付いてそのまま潅木帯に入って越えた” なーんて記録を読んだけど、
1段目、2段目を右ルンゼから取り付いて越えてからは、水流左も登れそうで、私が水流左。Takahashiさんが水流右で登ってみる。
どちらもV級レベルで、3段目を登り、3段目落ち口上で合流。ここからまた”私は左、あなたは右” って感じで4段目上で再び合流。
ここからは右の潅木帯に突入するより左の草付きを上がった方がスッキリしているので、二人とも左から上がり大滝が終了した
トイ状10m滝の高巻きから6段120m滝
6段滝ルート(カーソル当てて)
3段目を登る(クリックして)
3段目落ち口から4段目
5段目です
6段目
大滝終了です(クリックして)

大滝を超えると源頭部の癒し系を期待した訳だが、狭いゴルジュ。深い釜を持った3mCS滝。これが登れない。。。私は左を選択して
高巻いたが、大失敗で細い灌木を束ねて懸垂下降する羽目に・・・30分くらいロスしたかな?ザイルをだしたのは唯一この時だけ。
Takahashiさんが待つ左岸への高巻きへと登り返すが、ここの取り付きも結構悪かった。。Takahashiさんから
「良い食事タイムになった」と温かいお言葉をいただく(^^ゞ
たかだか3mCS滝だが30m以上の大高巻き。沢の上流を見渡せる所まで来ると、まだ大スラブに60m大滝が控えていた。

凄いねこの沢は・・・

ここも下降ポイントを上手く見つけないと、延々高巻きになってしまうので注意。ルンゼを横断し、そのままこのルンゼを利用して
クライムダウンする。ここはすぐ先に15mトイ状が控えているので、完全には沢床には降りず。沢床から10m弱の高さの所を上手く
繋げてトラバースしていく。
登れない3mCS
高巻き途中から・・・
このルンゼを下降する
トイ状15mと大滝(カーソル当てて)

60m大滝前衛の12m2条を右から上がり、60m大滝は水流左の壁に取り付く。上部は水流沿いも登れて気持ち良く登れるV
前衛12mと60m大滝(クリックして)
60m大滝登攀ルート(カーソル当てて)
水流際を行きます♪
滝上から荒沢岳

大滝上は・・・ まだゴルジュだよ!!!

深い釜を持った5m滝が出てくるが、ここは左の水中バンドを利用して直登出来た。さらに小滝をクリヤーすると、ようやく源頭部の
様相になり。1630mに位置する(1:1)二俣。小屋は右にあるので水汲みは左の沢から。ここを右に進む。。。
まだゴルジュが続く・・・
5m滝(カーソル当てて)
1630m二俣。右に入ります

あとは草付き詰めて終了かな?と思ったのだが、源頭部の様相なのに悪い7m滝が出てくる。ここは右巻き。その上は2段10mトイ状
ここも水流を突っ込むと上段でハマるので右岸を巻いた方が良い。高巻くと”こんなところに!”と驚く18m滝。上部は水流沿いを
登るが、もうお腹いっぱい!
7m滝は右巻き
2段10mトイ
トドメの18m滝

ここを過ぎるとようやく癒し系の様相となってくる。小ナメ滝を越えて行くと、稜線を歩く人、駒の小屋のアンテナが見えてくる。
この辺りまで来れば右の枝沢で、ショートカットも可能。そのまま本流を詰めると、駒ケ岳本峰に詰めるゴーロ状の沢筋と
駒の小屋に詰め上がる右のルンゼの分岐。

「もういいんじゃないの・・・?!」

という事で意見が一致。駒の小屋に詰め上がる。藪漕ぎは無く、駒の小屋10m下の登山道に到着♪
小屋では新潟稜友会の方が居て、「10月下旬で沢かぁー、しかも滝ハナ」 とか驚いてましたけど、
まぁ広葉綺麗だし、泳ぎ系でもないんで・・・(笑)

時間は13時過ぎ。なんだかんだ凄い内容だったが、いいペースで終了。時間的には余裕があるが、お互い駒ケ岳は登った事あるので
ここから下山する。紅葉はまだまだ見頃で、ここで沢〆するのは、もったいない感じだ。
やっと癒し系
駒ケ岳本峰に詰め上がる沢筋
小屋に向かって詰めます
終了です♪
越後駒ケ岳を振り返る

P.S:この記録は、雪渓が少ない状態での遡行と思ってください。シュルントが両岸の岩壁に続いており、雪渓に乗り移る事も出来ず、
   むしろ、難しい遡行となった感があります。沢の様相は広河原から先は悪く、雪渓の状態、高巻きも悪い事を考えると、
   オツルミズより難しく、3週間前に行った蛇子沢左俣より完全に1ランク上の内容です。幕営適地は広河原すぎると良いところが無いことが、
   さらに完全遡行を難しくしている要因でしょう。ザイルはルートミスで懸垂で戻った以外は1度も使いませんでしたが、
   確実に支点を取れるところも少なく、ザイルを多く出していると時間切れの可能性大。
   急傾斜スラブの高巻き、3級程度の岩壁のクライムダウンに慣れていないと、巻き上げられて終了になる可能性が高いでしょう。
   いかに小さく巻くかがカギです。 
   靴は、滝の水流際直登はまずムリなので乾いた岩に強いアクアステルスがお勧めです。

遡行図(クリックして)


沢登りトップへ     その空の下で。。。トップへ




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