2012年9月14〜16日 只見川 大白沢 大ハゲ沢→キノクラ沢下降

メンバー:SACHさん、ひろた
装備:ザイル8mm×50m、カム 靴:アクアステルス
地形図:平ヶ岳、尾瀬ヶ原
遡行図はこちら

2011年7月末に起きた新潟・福島豪雨の影響で越後、会津の沢は大きなダメージを受けた。。。1年以上経った今でも三国ダム周遊路が通行止めで、
十字峡に入れず。銀山平から桧枝岐をつなぐ国道352もまだ寸断されている状況で、越後の沢にはアプローチしにくい状況が続いている。
ただ、桧枝岐側から、平ヶ岳登山口の鷹ノ巣までは車で入れるようになったと聞きつけ、只見川 大白沢流域を狙うことにした。
この流域では"ワカゴイ沢"が特に有名だが、既に遡行済みという事もあり、今回は2泊3日で、大滝を持つ大ハゲ沢を選択。下降路に、キノクラ沢をチョイスし、
基点に戻る計画とした。

アプローチ
18:10自宅発→19:10片岡駅→21:05七入(仮眠)→6:00砂子平
初日: 6:30砂子平基点発→6:40籠の渡し→(釣り)9:20-9:50クロウ沢/シロウ沢出合→10:30大ハゲ沢出合→11:55 80m大滝下
    →13:10 1225m付近幕営適地→14:35 70m大滝上→15:30 1500m付近テン場(行動終了)
二日目: 6:40出発→7:02三俣(右に入る)→8:55稜線→9:40キノクラ沢下降開始→11:15二俣(80m滝下)→12:10 1530m付近テン場
     →15:45アサユウ沢出合→15:50行動終了
三日目: 6:30出発→8:40-9:20シロウ沢出合→11:45砂子平

大白沢流域の遡行の場合、基点は砂子平になる。福島県側から入ると新潟県に渡る数百m手前に薄緑色の屋根を持つ廃屋が目印で、
ここの脇に大白沢に渡る”籠の渡し”への踏跡が伸びている。駐車スペースは国道沿いの空スペースで問題ない。携帯は繋がらない。

昨年の大雨で、”籠の渡し”も流されただろうと思っていたが、なんと、2007年に来た時より新しくなっていた!!!。付け替えたのかな???
大白沢右岸に付けられた踏跡も明瞭とまではいかないが、消失せずにちゃんと利用できる。
沢に一番近づいたところで導かれるように大白沢に入渓。 さてさて、問題はイワナの生息状況。。。5年前に来たときは「サケでも居るのか?!」っていうくらい
巨大イワナが泳いでいたが、残念ながら、ほとんどのイワナがやはり大雨で流されてしまったようだ。 1っ箇所、イワナが群れて居た所で竿をだすが、
相手にされず。その先は、魚影は見たには見たが、ほぼ絶滅と言う感じ。。。ただ、稚魚は入渓点付近で多数見かけた。。。
まぁある程度個体数が戻るのは4,5年は掛かるかも・・・ 沢自体は、”荒れた”と言う人も居るだろうが、多少釜が埋まったくらいに思え、青い空の下では
すべてが美しい
基点の砂子平と目印の家(カーソルあてて)
籠の渡し健在!
大白沢様相

右岸から入る池ノ沢の滝は2段になっており、ここを過ぎればシロウ沢/クロウ沢の出合はすぐ。この出合には極上のテン場があるが、多くの人が泊まる
せいか薪は少ない。シロウ沢に入り、ワカゴイ沢/大ハゲ沢出合までは難所なし、途中”2段タコツボ滝”なる、ユニークな滝が印象的だ。
大ハゲ沢/ワカゴイ沢出合にも大ハゲ沢に入ってすぐ右岸にテン場がある。
池ノ沢出合、シロウ沢出合はすぐ(カーソルあてて)
シロウ沢最初の滝と2段タコツボ滝(カーソルあてて)
大ハゲ沢/ワカゴイ沢出合

大ハゲ沢に入り最初の5m滝を超えると浅いゴルジュ風の様相が続く。左岸ハング岩のところに掛かる4m滝を超え、しばらく進むと9m滝。幸い水流右が
斜上凹角になっており、何の問題も無く上がって行ける。
大ハゲ沢最初の5m滝
ゴルジュ風の様相から4m滝(カーソルあてて)
9m滝(カーソルあてて)

9m滝を登ると間髪入れずに6mトイ状。最初水流左から取りついたが、上部が全体的に濡れてて、アクアステルスでは難しいと判断。水流右の乾いた
リッジを登る。使えない残置ハーケン横に一発ハーケンを打ち上に抜けた。フェルトソールだとチョイト厳しいかも・・・ここを抜けると地形図にも書かれた
大滝が現れる。
6m滝(カーソルあてて)
6m滝を右から超える(カーソルあてて)
大滝が現れる

登山大系にあるように80mはあり、岩盤を切り裂くように水を落とす実に見事な滝だ。。。高巻くなら左岸ルンゼから灌木帯に入るのが定石だろう。
水流の両サイドは下部が立っており難しそうで、水流に入っての直登かと思い、水流左から取りつく。取りつき点からすぐには壁がノッペリしており、
水流には入れず、水流左を2、3m程度フリクションで登って水流に入った。ここで、カムで支点をとり水流を見上げると、一筋縄では行かない感じ。
ふと、アクアステルスのフリクションなら水流左壁をそのまま上がれるのでは・・・” と思い、そのまま左壁を直登。途中支点を取れるところは無いが、
アクアステルスのフリクションを信じ、安全圏まで這い上がる。支点が取れるところまで上がる事を考えると、ザイルは40m以上はあった方が良いだろう。
大滝の核心部はこの下部で、ここまで上がれれば水流左でも、右でも直登可能。水流左は若干草付になるので、水流右を選択してザイルを引っ張る。
50mザイルでも上まで抜けられないが、安全圏まで上がって、ザイルを仕舞い、残りを快適に直登する。
80m大滝(クリックして)
下部の登攀(カーソルあてて)
中間部から(カーソルあてて)
大滝最上部

大滝上は概ね平凡な様相。二俣チックの箇所、右に掛かる4mCSで始まる小滝を2,3超えるとテン場がある。翌日鷹ノ巣や、雨池橋に下山する場合も、
最低ここまで来ておかないと、ヘッデン下山となるだろう。テン場の先には7m滝があり、水流左をタワシで滑りを落としながら直登。
大滝上の様相
4mCS
1220m付近テン場(2か所ある)
7m滝(カーソルあてて)

ここから暫く小滝を交えた様相が続くとと、両岸草付のゴルジュになり、悪い10m滝が掛かる。高巻きは左岸だがこれも悪そう。滝に近づくと、水流左が
登れそうだったので、ノーザイルで取りつく。上部の嫌らしい所に残置ハーケンがあり、長めのシュリンゲでセルフを取り1段上がる。さらにワンポイント
嫌らしい所があったので、ハーケンを打ち、再び長めのシュリンゲでセルフを取って上がった。SACHさんには上からザイルを落として回収しながら
上がってきてもらう。この滝を超えると再び大滝。。。これまた70m位ありそう。この滝は傾斜は緩く、水流右からノーザイルで快適に直登できる
草付ゴルジュの奥に10m滝(カーソルあてて)
10m滝はちょっと渋い
70m大滝(カーソルあてて)

幅広の大滝ではあるが、滝上は極狭のスリットゴルジュ、この出口の6mは水流左壁をフリクションで登って突破。ここもフェルトだとチョット渋いかも。。。
この先もV字ゴルジュが続き、一見嫌らしそうなCS滝も出てくるが、そう苦労することなく突破できた。V字ゴルジュを抜けると15m滝が出てくるが
これまた快適に直登できる
大滝上スリットゴルジュ
ゴルジュ出口6mは左から
V字ゴルジュにはCS滝のお約束・・・
15m滝

この先は小滝の連瀑帯になり、”7m”、”7m下部CS” を超えると多少の整地をすれば使えるテン場を発見。(1500m付近) この先も偵察したが良い
テン場は無く、時間も15時半なので、今日の行動を終了した。薪は結構あり大きな焚火が出来た。
7m滝(カーソルあてて)
7m下部CS滝
1500m付近テン場(カーソルあてて)



二日目
9月中旬だが、テントという事もあり、薄い寝袋一枚で暖かく寝れた。 ここから先も草付ゴルジュ風。小滝を超えていくと地形図で1615mに位置する
(1:1)二俣。右岸からもう一本枝沢が入っているので、三俣と言っても良いだろう。登山大系の遡行図では左に入っているが、パッとしないので、
明るい様相の右俣に入る。2000年当時の記録では、ここで幕営したと書いてあったが、ここには良いテン場は無かった
小滝を超えていきます
1615m(1:1)二俣(三俣)
左俣の様相

右俣も概ね平凡な様相。1650m、1700m付近にそれぞれ整地すれば使えそうなテン場があった(薪も有り)。この先源頭の様相になってくるが、
5m、6mが現れ、これを超えると藪漕ぎ無しで稜線の湿原に到着する。
1650m、1700mこんな物件で良ければ(カーソルあてて)
源頭付近の5m,6m滝(カーソルあてて)
最後の詰め
稜線から平ヶ岳方向
池塘も有ります

さて、キノクラ沢の下降点への移動だが、幅広い稜線の東側に薄い踏跡が付いており、これを頼りに南下。大ハゲ沢とキノクラ沢を分ける尾根を越えた
すぐの沢筋を降りれば良いのだが、もう一つ子尾根を越えた所で下降を開始した。これが正解か失敗かは解らないが、序盤は沢型を笹が覆うような
状況がしばらく続く。ようやく歩きやすくなったら10mくらいの滝が現れ、灌木を利用しながら下降。その後急降下し、2段18mを懸垂下降すると左岸から本流筋
(大ハゲ沢/キノクラ沢分岐尾根を過ぎてすぐの沢筋)の滝と合流。
本流筋の滝は、登山大系に80m滝と書かれたものであろうが、細く多段であり、大ハゲ沢の大滝の様な立派な滝ではなかったので、我々が降りてきた
沢筋の方が良かったかも・・・?
キノクラ沢本流筋(カーソルあてると降りた沢筋に)
急降下
2段18mを懸垂下降
左岸から入る本流筋の80m滝

こちらは2段18m滝を降りた先も急降下、最後は懸垂下降で本流筋との合流点に降り立つ。どこで滝として区切ったらよく解らないが、ここでは60m滝
として遡行図に書いておく。。。ここからすぐにスリットゴルジュになるが、下降に難は無い。
60m滝懸垂(カーソルあてて)
本流筋と合流
スリットゴルジュ
スリットゴルジュを下降

スリットをゴルジュが終わると荒れた様相で左直角に曲がる。おそらくここは雪渓が最後まで残る所だ。岩盤が発達しキノクラ沢唯一の幅広ナメ
を通過、3m程度の小滝降りるとテン場を1,2か所発見(1520m付近)。この沢での数少ないテン場になる。
荒れた様相。右から降りてきました
キノクラ沢唯一の幅広ナメ
1520m付近テン場

ここを過ぎると、6m滝下で左岸から8m滝で出合う枝沢が入る。ここから先は延々ゴルジュが続く。。。暫くは難所はないが、難所は突如として現れ、
最初の12m滝を懸垂下降。この滝が直登する場合は一番難しく、水流右を取りつくが、上部のナメ状の岩に乗りあがる所が核心。4級は下らないと思う。
12m滝下は岩盤が発達した様相になり15m滝が現れる。捨て縄/軟鉄ハーケンは大目に持ってきたが、この先何が出てくるかわからないので、できれば
温存したいところ。。。左岸草付きを降りようとしたが、SACHさんが「ムリそう。。。」とのことで、出来る限り滝を降りてみると、そのままクライムダウン出来そうな
ラインを見つけた。SACHさんには1ポイントシュリンゲを繋いで降りてもらい、私はクライムダウンで下降する
左岸8m滝で枝沢が入る。ここからゴルジュが続く
12m滝(クリックして)
15m滝をクライムダウン(カーソルあてて)

15m滝を降り、クランク状に曲がった沢筋を進むと10mCS。ここは両岸草付なので、支点はハーケンを打つしかなさそうだが、ここもクライムダウンが
出来そう。ワンポイントを先ほどの15m滝同様、シュリンゲを繋いでSACHさんに降りてもらう。ここから左岸バンドで滝下に降りれる。このバンド下降も、
フェルトソールだとちょっと怖いかも。
10mCS滝上
ここからバンドを下降(カーソルあてて)
10mCS滝遠望(高巻きは無いネ!)

これで、キノクラ沢ゴルジュの核心3連瀑が終了。ただゴルジュはまだまだ続く。この先の5mナメ滝もSACHさんにはお助け紐を出して下降。あとは、
すべてクライムダウンで降りて行ける。釜も深い所があるが、上手く降りれば腰上程度までしか濡れないはずだ。
5mナメ滝の下降
クライムダウンで濡れないように(カーソルあてて)
こんなゴルジュをひたすら下降します。

左岸に白い大ガレが見えてくるとゴールは近く、その手前に左岸から60m滝で出合う枝沢が入る。白い大ガレのところで長いゴルジュがようやく終了。
大ガレ下の荒れた様相を降りればクロウ沢本流筋のアサユウ沢と合流する。ここで、聞いたことの無い叫び声を耳にすると、マムシ君を踏みそうに
なったとの事、いやいやビックリ・・・
60m滝で出合う左岸枝沢
左岸大ガレでゴルジュが終了
アサユウ沢出合が見える
アサユウ沢入り口の10m滝

ここから200m程下ると絶好のテン場を発見。時間も16時手前なので、ここで、幕営する。蚊も多かったが焚火で撃退。これで、イワナが有れば100点
満点なんだけど・・・って感じかな
少し下ると河原状
行動終了です♪
かなり暑い・・・


三日目
地図を見ると、かなり残り距離が長いので、早めに出発。やはり魚影は無いに等しい。途中小屋場ノ沢出合でテン場と焚火の跡を発見。
岩盤の発達した様相を交えながら、下降を続ける事2時間強でシロウ沢出合に到着。休憩がてらテン場周辺のゴミを焚火で燃やす。。。
この巨岩を過ぎればテン場はすぐそこ。
クロウ沢の様相(カーソルあてて)
シロウ沢出合に到着

快晴の空の下、砂子平を目指す。右岸の踏跡も目印は無いが上手い具合に見つかり、お昼前に砂子平に到着した。
最高の青空
大白沢のミニゴルジュ
只見川到着♪

P.S:極端に難しい滝は無く、雪渓が無ければ初級者がいても大丈夫でしょう。テン場はどちらの大ハゲ沢/キノクラ沢どちらも少ないので、この記録を
   参考にしてください。キノクラ沢を下降する場合ザイルは40m以上必要。靴もアクアステルスの方が良いでしょう。
   ちなみに、キノクラ沢、大ハゲ沢のみの遡行の場合、平ヶ岳へは1時間強見ておけばよく、車が2台あれば平ガ岳から雨池橋へ下山した方が、
   時間が遅くなっても林道歩きが長いだけなので、ヘッデンで安心して降りれます。平ヶ岳から林道終点まで2時間15分、林道歩き2時間半です。
   ルート詳細はワカゴイ沢の記録を参照してください

遡行図(クリックして)



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