2014年5月31日 五頭 大荒川本流 権四郎沢
メンバー:SACHさん、ひろた
装備、ザイル8mm×30m 靴:アクアステルス
地形図:出湯
遡行図・概念図はこちら
新潟県下越に位置する"五頭山塊"。"五頭"と言われて、場所がどの辺りか把握できたのは昨年の事だった。新潟といえば関東の人間にとっては雪が多いイメージがあるが、
五頭は雪も比較的少なく、雪解けも早いため5月下旬から遡行可能になるようだ。
今回は五頭山塊初遡行ということで、表五頭(海側)の代表的な沢である大荒川本流権四郎沢と安野川本流筋の小倉沢ハゲ沢の日帰り×2本の計画で遡行してみた。
ちなみに、五頭の沢は『五頭山塊の沢』という本が地元山岳会から発行されており、詳細はこれに詳しいが、あえてこの本は目を通さず、手持ち資料は地形図のみで遡行した。
18:30自宅発→19:20宇都宮駅、19:45同発→20:05宇都宮IC→22:24阿賀野川SA、5:58安田IC→6:15基点P
6:50基点発→6:55入渓→(竿出し有り)9:03最終堰堤上→9:40小倉沢出合(竿出し有り)→13:21スグノ沢出合
→15:12 740m中ノ沢出合(権四郎沢に入る)→16:43松平山山頂→17:13山葵山→17:45基点P着
表五頭のアプローチは磐越自動車道、安田ICからが便利。手前の阿賀野川SAは静かなので、仮眠にお勧め。ICを降りると、地形図に魚止滝と書かれた
大荒川基点Pまで道も全舗装ですぐ。。。ここはsoftbank携帯も使える。
大荒川本流の遡行はWEB記録を見ると、山葵山への登山道から踏跡を通って、最終堰堤上から入渓する記録ばかりだが、登山道に上がると、イイ感じの
滝が見えていたので、引き返して、登山道が本流を横断する箇所から入渓する。
入渓してすぐ大釜を持つ4m魚止め滝(?)。水流左壁にトラロープがぶら下がっているが使わなくても何とか突破できる。この上にはまた大釜を持った3m滝
ここは水流右を経つって超えた。すると、一つ目の堰堤。簡単に左から高巻く。
この堰堤を超えると廊下状になる。ここを省いて遡行するのは勿体ないかも・・・。。。出てくる滝は小さいが、深淵と水量で水線突破は難しく小さな高巻き
を数回行った。大岩の3m滝を超えると少し様相が落ち着いたので、古い堰堤手前まで竿を出したが、ここでは釣れなかった。すぐに悪い様相となり、10m
の大滝出現!!!と思ったら、これが最終堰堤で、ここまで2時間掛かった。 堰堤上には釣師のたき火の跡があり、絶好のテン場にもなっている。広河原状から急に沢は狭くなって淵になる。泳ぎたくない一心で左壁を経つるが、
SACHさんが腰上までの入水で簡単に突破してしまった。。。4m滝、5m滝を超えると、(2:1)で小倉沢が左岸から入る。小倉沢は西小倉沢、東小倉沢に
分かれどちらも遡行対象になっている様だ。小倉沢に入いってすぐ”芳兵衛の滝”と名付けられた2条6m滝があるので間違うことは無いだろう。
小倉沢出合から先は、概ね癒し系の様相が続く。。。2段6m上2条の滝を超えると、右岸から長倉沢が入るが水量は今一つ。
この先3m滝が登れず左から小さく巻く。沢筋はいったん開けるがすぐにゴルジュになる、前衛の3m滝はラバーソールであればグリップが効くので、難しく
はないが、フェルトだとちょいとグレードが上がるかも、ただ残置シュリンゲもぶら下がっているので、そんなに問題にならないと思う。SACHさんにはA0で
上がってきてもらった。ゴルジュ内3m滝は左壁を上がる。出口の4m滝は水流右クラックにカムを決め最初の1歩をA0で上がれば、あとは容易。SACH
さんは左から巻いて上がった。
この上で、魚影が現れたので竿を出してみる。竿を出すと、つい時間を忘れてしまうのが悪いクセで時間は12時過ぎ。標高はまだ500m位・・・、まぁ日が
長いから何とかなるのかな。。。???
すると、右の岩溝から滝が落ちる、パッと見ただけで悪いと解る様相。前衛滝をシャワーで登って、覗いてみると極悪スリットゴルジュになっていた・・・。
それでも入口3m滝を左から登って覗いてみるが、次の4m滝も悪く、それが仮に登れても最奥の10m級の滝が全く持って登れそうもない。
ここのスリットゴルジュ内の一連の滝は「入り三階ノ滝」と呼ばれているらしい。ここは、左岸の泥斜面を使って巻くしかない。。。悪い巻だが、途中から
残置ロープがつけられていたので、安易に利用させていただく。
この先は、少しおとなしい様相。ただ、3m程度の小滝は登れず右岸を小さく巻き、その先の4m滝は小さく左岸を巻けるが、WEBで突っ込んでた写真を
見たのを思い出し、頑張って右壁を経つって突破した。すると右岸からスグノ沢が入る。水量比は(1:2)。本流は右直角に曲がっている。水量の多い本流を
進むとガッツリ雪渓が出てきた・・・。 先週火曜日に、新潟のひらっぺさんから、”隣の小倉沢には、雪渓は小さいのが一つだけ・・・”という情報を聞いていた
ので、同じ方向に流れる、大荒川も大丈夫だろう・・・と、高を括っていたのだが、まだ540m程度の標高でこの雪渓は予想外。。。時間は13時半前・・・
”これは、ヤバイな・・・”
幸い雪渓上を歩けたが、断続的に現れる雪渓に、この後どんな滝が出て来るかも解らず不安がよぎる。。。
すると、急傾斜の沢筋にビッチリ雪渓が付いているのが目に入り”敗退”の二文字がよぎるが、本流は左直角に曲がってホッとする。。。・・・が、そこは
V字ゴルジュ。後日確認したら”小ヤゲン”と呼ばれているところだった。難しそうなCS滝の奥に雪渓が引っかかっており、SACHさんはビビッてたが、
とりあえず突っ込むしか無さそうなので、進んでみると、幸い3mCSは水流左を容易に登れた。SACHさんには迷わずシュリンゲを出す。その上の小滝を
超えた時点で雪渓の下に入るが、ここは潜るしかなさそうだ。滝を登って、急いでSACHさんにシュリンゲを出して雪渓を潜る。すると、さらに、雪渓が立ち
はだかっており、これも潜るしか選択肢は無く、手を合わせてから突破する。。。 無事突破出来てホッとしたのもつかの間、ノッペリ壁から流れ出る3m滝に行く手を阻まれる。ここからまた狭いゴルジュになっており、ここは”大ヤゲン”と
呼ばれる所らしいことは後日知る。”ショルダーで行こうか”と思ったが、ゴルジュ内に雪渓があり断念。右岸を巻くが大高巻きになり、下降点を探りながら
トラバース。13m程度のトラバース懸垂で丁度、ゴルジュ終了地点に出た。。。 この先に出てくる2段8m滝は水流左を直登する。
この先は、また、断続的に雪渓が出現。。。沢床は平凡な感じだが、思いの他、進むのに時間がかかる。すると、見事な12m滝が出現。水流左をザイルを
出して頑張れば直登可能かもしれないが、今回は時間が押しててムリ。左岸の泥斜面を上がるが、灌木を掴むまで悪かった。12m滝上は小滝が現れる
程度で難所は無く、740mに位置する権四郎沢/中ノ沢の(1:1)二俣に到着。中ノ沢には雪渓が掛かっているのもあったが、時間が押しているので、
短距離で詰めあげる左の権四郎沢を選択。。。
しかし短距離で詰め上がるだけあって滝が連続。2段8m滝を直登、2m、5m滝も上がると、またしても狭いゴルジュ・・・。。。視界に入る部分は登れそう
だったので、突っ込んでいくが、後から出てくる出口の4m、7m滝がよく見たわけではないが絶望的と判断・・・適当な所から左岸高巻きに入るが、
灌木を掴むまでが冷や汗もので、雪渓潜りが無ければ、この高巻きが核心だったかも・・・
高巻きを終えたところで左岸から顕著な枝沢が入る。ほぼ水量比は(1:1)なのだが、地形図ではそれほど顕著な沢筋は無く不思議だ。一応磁石で
方向を確かめ北に伸びる沢筋に入った。。。2つの4m弱の小滝を越えると、平凡な様相。この辺りは増水しなければ幕営可能な場所が2、3箇所ある。
やっと、滝は終了か・・・と思ったら、右から5m滝・・・('_')。 結構立っていて、巻きも難しそうだが、水流左を直登できた。
すぐ上にある3m滝を越えると、また雪渓が続くようになる。雪渓の上を歩けるが、1箇所、小滝と思って近づいたら4m以上の滝で、雪渓が崩れたら
やばかったかもしれない。自分の高度計は松平山山頂まで30m強。沢靴で雪渓を歩くのもしんどいので二俣に分かれた沢筋の中間尾根に取り付き、
詰めあがる。藪漕ぎは無いに等しい。7,8分で尾根に出ても道が無いので、とりあえず高いところを目指したら、すぐにダイレクトに松平山山頂に出た。
時間は16時45分。
日帰り遡行だったら、日も長いので、のんびり降りてもヘッデン点けずに下山できそうだが、釣った岩魚を食べないと・・・と思い、急いで下山。幸い歩き
やすい道で、ちょうど1時間で基点駐車場に戻ることが出来た。幸い駐車場近くの河原で焚き火が出来、きれいな水が得られる場所があったので、焚き火
をして、駐車場で幕営。翌日の小倉沢に備える。
P.S:大荒川本流は大滝こそ無いものの、変化が多く充実した遡行ができる。ただ、小さく巻こうとすると高巻きは難しい。雪渓は隣の安野川小倉沢より、解けるのが
遅いので注意。雪渓がなくて、竿も出さなければ、我々のように駐車場脇からの入渓で、下部の廊下を楽しんでも十分日帰りで遡行が可能。ザイルは30mで足ります。
テン場は小倉沢出合い以降になると、乏しく権四郎沢に入った後の源頭部のみに確認できました。
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