2014年9月13〜15日 北アルプス 金木戸川 双六谷(本谷)

メンバー:ひろた、他2名
装備、ザイル8mm×30m、カム#0.4 靴:アクアステルス
地形図:三俣蓮華岳
概念図はこちら

別案まで用意して計画した沢が、どちらもピンポイントで雨予報になり、急遽、天気が安定する北アルプスの沢に変更。久しぶりにご一緒する現場監督さんが指を負傷しているとの事で、
滝が殆ど無いという双六谷に行く事にした。昨年、小倉谷→打込谷下降した時に歩いた長ーい林道歩きをまさか2年連続でやるとは思ってなかったが、まぁこんなこともアリだろう。。。
さて、増水すると敗退も余儀なくされる双六谷だが、ここ5日間ほど纏まった雨が降っていない事を確認。気楽に事を進めることになった

19:16小金井駅→19:47栃木IC→22:07梓川SA、4:40同発→5:30道の駅「風穴の里」→6:00平湯→6:20新穂高温泉P→7:15金木戸川ゲート着
初日: 7:30ゲート発→9:22中ノ俣川分岐→10:21小倉谷出合→12:02打込谷出合→14:25センズ谷出合→15:10テン場適地行動終了
二日目: 7:05出発→9:16蓮華谷出合→13:00 1940m右岸枝沢出合→1」5:30 2090m付近行動終了

三日目: 6:27出発→7:35(2:1)二俣→8:30双六山荘、8:45下山開始→10:00鏡平小屋→13:00新穂高温泉P

連休に好天が重なった事もあり、集合場所にした道の駅も劇混み。クルマを1台デポしに新穂高温泉の無料駐車場を目指す。なんと新穂高温泉の有料
駐車場は6時間500円で、それを過ぎるとまた6時間毎に500円を徴収されるという”トンデモ高額”な駐車場なので山に入るならここは避けたいところだ。
6時半前に新穂高に着いたが、ハイシーズンというのは恐ろしいもので、既に満車で、管理人まで居る始末。「どうしましょうか・・・」と現場監督さんと話して
いるとラッキーな事にクルマが1台出てきたので、「今入れます?」と聞くとOKの返事。これはラッキーだった・・・。
2014年9月16日のニュースによると行楽シーズンは路上駐車が多いので取り締まりを強化するとのこと

現場監督さんの車で金木戸川第一ゲートに向かう。ゲート手前にはお盆のハイシーズン程では無いが、4台程のクルマが既に駐車しており三重ナンバー
のパーティが打込谷に向かうという事で出発準備をしていた。

こちらは、既に荷物をまとめた状態だったので、お先に出発させていただく。。。まぁ相変わらず長い林道だが、昨年と違って、帰りはこの林道を歩かな
いで済む分気が楽。中ノ俣川の橋を渡ると先行する6人パーティを発見。ココのつづら折りをショートカットすると、この6人パーティーの前に出た。1192mに
ある最終取水堰堤に着くと、ちょいと迷いやすいが、とりあえず川沿いに進めば小倉谷に続く踏み跡が見つかるはずなので、強引に進んでみるとよい。
追い抜いたパーティは地図を広げていたようで、残念ながら彼らとはその後接触することなかった・・・。
第1ゲート出発します
中ノ俣川分岐
1192m取水堰堤

右岸踏跡を進むと10分程度で小倉谷出合になる。現場監督さんは、金木戸川流域自体が初めてなので、一応、小倉谷出合で休憩し、本流横断手法など
を説明。問題の水量だが、昨年の小倉谷→打込谷下降した時より10cm程度水面が低く、まったく問題ない事を確認出来た。

先ほど歩いた踏跡に戻ると、丁度小倉谷出合のところで、25m程上を通っている軌道跡に続く踏跡が伸びている。これも、昨年歩いたから迷うことなく
進めたが、初めてだと若干戸惑うかもしれない。ここから軌道跡を利用。一部流され解りにくいところもあるが、元々”軌道”なので、急にアップダウン
するはずもなく、同じ高さで探せば、寸断された道もすぐに見つかるはずだ。難所も特にない。ただ、この軌道区間でSACHさんと私は30m程先に青い恰好
をした先行者の姿を目にする。先ほどの6人パーティが小倉谷休憩中で我々を抜いたのか? と思ったわけだが、なぜかその後、青い恰好をした人に追
いつかない・・・「あれはいったいなんだったのか???」  小倉谷出合から1時間ちょっとでようやく入渓点になった。名物の壊れた吊橋下の右岸に絶好の
テン場がある。
小倉谷出合
軌道跡を進む(途中青い人影が・・・)
やっと入渓(カーソルあてて)

今日は、平水なので打込谷までも腰を濡らすことなく進んでいけた。入渓点から20分超で打込谷出合。打込谷を簡単に横断して双六谷に入る。
大岩がゴロゴロしてるが、チョイト面倒なだけで、敢えて水に入ろうとしなければ不安になることは無い。単なるゴーロではあるが、さすが北アルプス、
景観は素晴らしい!ちなみに金木戸川上流部はすべて禁漁区ではあるが、この辺りでは全く魚影は見ない。多くの記録ではセンズ谷出合先に幕営地を
求めているが、打込谷出合〜センズ谷出合の間にも絶好のテン場は決行ある。
打込谷手前の本流横断点も今日は楽勝
双六谷の景観(カーソルあてて)
センズ谷出合までの様相とテン場(カーソルあてて)

センズ谷出合手前にも顕著な右岸枝沢がはいるが、センズ谷はちょっと入ると奥に50m強の大滝が見えるのでそれで判断できる。しばらく進むと、
先行二人組パーティを発見、お話を聞くと"まつど岳人倶楽部"の方で、九郎右衛門谷に入るとの事。こちらの方が滝があって面白く、しかも沢中2泊で
戻ってこれるとの事。ちょっと我々は予習が足りなかったようだ・・・。。。 それにしても彼らはきちっとスクラム組んで渡渉しているのに、我々は自分が
渡渉し終えると、パートナーにカメラを向けるだけ・・・(笑)
この先で、滝状で出合うこれはと思わせる右岸支流が入る。チョット登ってみると奥に大滝が掛かっており、センズ谷だと判明。
センズ谷手前の顕著な右岸枝沢
正しい渡渉法と誤った渡渉法(カーソルあてて)
センズ谷を見る

本流はここから大岩の無い河原状が続く。少し進むと、右岸に整地済みの絶好のテン場を発見。地形図で目標としていた幕営地(下抜戸広河原)はもう、
チョイ先だが、先行する松戸パーティが幕営していると思われるので、今日はここで終了する。薪も豊富で快適だった。
センズ谷出合先の絶好のテン場
落ち着いた雰囲気
薪は充分!


二日目
ちょっと寝坊して7時過ぎに出発。200m先に当初目標としていた広河原を発見。先行パーティは既に居らず、あまりに広い河原なので、テン場すら視界に
入らずココを通り過ぎたが、この広河原以外にもテン場は散見される。この先、少し進むと右岸から見事な20m滝で出合う顕著な枝沢が入り、この先でも
右岸にテン場を見つけた。 沢はここで、河原状から多いわゴーロ&岩盤が発達した様相に戻る。へつりもあるが、ラバーソルであれば、特に問題なく
突破できる。
平凡な河原状を出発(カーソルあてて)
20m滝で出合う右岸枝沢
へつりはこんな感じ(カーソルあてて)

ここを通過すると、先ほどと同じように20m級の滝で出合う右岸枝沢を見る。ココから先の本流は両岸の岩壁が美しい。この辺りに"キンチヂミ"と呼ば
れる淵があるそうだが埋まってしまったのか、全く解らず通過。この先も平水であれば、腰より上を濡らすことなく突破できる。 沢に日が当たったところで
休憩。この先にも整地済みテン場を発見して蓮華谷出合に到着水量比はほぼ(1:1)。双六本谷の遡行の場合、核心はココまでといっていいだろう。
また、20m滝で出合う右岸枝沢
渓相はとってもGood!(カーソルあてて)
蓮華谷出合

ここを右の本谷に入るとようやく通常の沢の入渓点という規模になる。振り返ると黒部五郎岳方面の稜線が見える。大岩はまだまだ在るが、問題なく
進んでいくと、やがて、魚止めを思わせる3m滝を見る。これは"六千尺の滝"と名づけられているそうだ。この滝を右岸から小さく巻くと、現場監督さんが
ザックの後ろに取り付けていたライジャケを途中で落としてしまったのに気づく。「チョット探してくる」といって、空荷で下っていくが、30分以上経っても
なかなか戻ってこない。SACHさんも「クマにやられたんじゃ・・・」とか、「昨日の青い人影が現場監督さんの生霊で・・・」とか不安になることを言い出すので、
荷物を背負って二人で下っていくと、ライジャケを見つけた現場監督さんが元気な様子で手を振っているのを発見! かなり下で落として、諦めかけた所で
見つけたそうだ。
本谷を進む(カーソルあてて)
大岩はまだあり
六千尺の滝3m

一安心して、先に進む。。。魚影は2000mを超えると見なくなった。うろ覚えだが2008m抜戸沢出合付近で右岸に絶好のテン場を見つけたが、まだいくら
でもこの先あるだろう・・・と先に進むが、この後なかなか絶好のテン場が見つからない。高度計で2150m超えまで上がったが見つからず、薪の不安を感じ
たため引き返す。幸い2090m付近の右岸草地で平らな場所をSACHさんが見つけてくれ、若干の整地をしテン場を造成、行動を終了した。
1960mで出合う右岸枝沢
2000mを超え開けるがあまり良いテンバが無い・・・
2090m付近で右岸草地を整地して行動終了


三日目
今日は寝坊せずに、通常通りの時間に出発。2190mまで上がると、右岸に整地済みのテン場を発見。これ以降に整地済みのテン場を発見する事は
なかった・・・。開放的な様相の中、一部雪渓が残っていたがいいアクセントになっている。 この先2370mで顕著な二俣。水量比は(3:1)で左の方が多く、
さらに左は来たアルプスならではの開放的な様相となっている。しかしここは水量が少なくボサ沢様相の右俣が双六小屋へ続く沢筋となっている。
まぁ今回は帰り道も長いし、オーソドックスに右に入る。。。
明るい様相だがここには幕営地無し(カーソルあてて)
2190m付近右岸の最終整地済みテン場
2370m(3:1)二俣、左は双六岳、右は双六小屋に出る


水流は少し先で消えてしまった・・・。沢形はまだ残っているが、左岸に登山道を歩く人が見えるところで、"たった今居たでしょ!"というクマ糞を数箇所見つ
ける。 小屋も近くだというのに、数頭は居そうな雰囲気。そのまま、草原状になると双六池を挟んで双六小屋に到着。ココに来たのは2001年の赤木沢
以来か・・・
双六小屋に向け右俣に入る(カーソルあてて)
登山道が見えてくる
ゴールに向かって一直線!

風も冷たいのでカッパを着込んですぐに下山する。なんと、現場監督さんは初日から靴が合わなかったららしく、両足の親指の爪が剥がれてしまった
そうだ。。。言われなかったらサッパリ解らないペースで歩いてくるなんて、やはりこの方、タダ者では無い!下山も、そんな足をかばう姿を見せる事なく、
他者に道を譲っていただくペースで降りている。凄すぎ・・・、
そういえば、ワサビ平小屋手前で、、若い男女から「沢登りですか?興味あるんです!」と声を掛けられ、お話しさせてもらったが、沢の世界に入ってくれる
だろうか・・・?
双六小屋を後にします
やはり、あの稜線は素晴らしい〜♪(カーソルあてて)
県道から無料駐車場に降りていく歩道で終了!

P.S:双六本谷は滝が無く、歩く沢だ。平水で在れば難しい箇所は皆無。単調さを嫌うなら蓮華谷のほうに入れば楽しめるはず。本谷遡行の場合
   ロープは30m1本で十分で、むしろフローティングロープの方が便利かも。この谷を遡行する場合、一番情報として持っておきたいのが増水の
   程度だが、"tenki jp"の「観測ページ」で、過去5日前からの雨雲レーダーが見れるのでこれを参考にすると便利だ。

双六本谷概念図(クリックして)


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